相続に関するよくある質問
- 相続財産とはどんなものがあるんですか?
- 相続財産は、土地や預貯金といったいわゆるプラスの財産(積極財産)ばかりではなく、借金等のマイナスの財産(消極財産)もその対象となります。プラスの財産(積極財産)としては、土地・建物、現金、預貯金、有価証券、自動車等、マイナスの財産(消極財産)としては、借金、保証債務、損害賠償金等があります。こういった相続財産の把握と調査も大切になります。お気軽にご相談ください。
- 遺産分割にはどのような方法があるんでしょうか?
- 遺産分割の分け方には、下記のような方法があります。
1.遺産を現物のまま配分する方法(ex.家屋はA、現金はC)
2.特定の相続人が他の相続人に対して取り分に見合う自己の財産を提供する方法
3.遺産を売却・換価し、その代金から必要経費等を差し引いた残りを相続分に応じて分配する方法
4.個々の遺産を共同相続人の共有とする方法
- 不動産の名義を亡くなった父から、変更したいがどうすればいいでしょうか?
- 亡くなった人(被相続人)が生前所有していた不動産を、その人の配偶者や子供など(相続人)に名義変更する手続です。被相続人の出生から死亡までの戸籍と相続人の現在の戸籍で相続人を確定し、具体的な不動産の分配は、遺産分割協議などで決めてから法務局へ名義を変更する登記申請(相続登記)をします。 不動産に関する権利には、所有権のほかに地上権や賃借権・(根)抵当権などがあり
、これらの権利についても相続登記をします。また、亡くなった人が(根)抵当権の債務者になっている場合は、これについても登記をすることになります。
- 相続登記は必ずしなければならないのでしょうか。
- 相続登記をしなかったからといって、罰金があったり、期限があるわけではありません。ただし、相続登記をせずに放っておくと手続きが複雑化したり、次の相続が開始して相続人が増え、権利関係が複雑化することがありますので、早めに手続きをすることをお勧めします。
- 法務局から「長期間相続登記等がされていないことの通知(お知らせ)」が届きましたが、これはどのような通知ですか?
- 土地の所有権の登記名義人(所有者)が亡くなられた後、その相続人に名義を変更するための相続登記の手続が長期間にわたって行われていないために、所有者が不明となっている土地が増え、社会問題となっています。
このような土地を解消するため、全国の法務局では、法務局が管理する不動産登記簿の情報から、長期間にわたって相続登記が行われていない土地を調査し、その土地の登記名義人(所有者)の法定相続人を探索する作業(を実施しています。その結果、全国の法務局は、通知書に記載の土地の法定相続人となる方のうちの1名の方に対して、この機会に、相続の登記申請を行っていただくことをお願いするための通知書を発送しています。
なお、法務局が、長期相続登記等未了土地解消作業に関連して、何らかの費用の振込みを依頼したり、金銭等を請求することは一切ありません。
土地の相続登記は、調査対象不動産を管轄する登記所に申請していただく必要があります。そのため、法定相続人となる方のうち、調査対象不動産の近郊に居住されている方、親等的に近い方など、登記名義人(所有者)を知っていると思われる方に、通知書を送付しています。
現在のところ、相続登記は、法律上の義務ではありません。しかし、相続登記を行わないまま長期間放置していると、様々なデメリットが生じるおそれがあります。
【メリット】
・ 相続登記を行うことで、権利関係が明確となり、不動産の売却や担保としての活用が円滑にできるようになります。
【デメリット】
・相続登記を行わず放置している間に、新たな相続が発生すると、法定相続人が増えて権利関係が複雑になるほか、法定相続人の探索に時間が掛かったり、相続登記を行うための費用が高額となるおそれがあります。
・相続登記が行われていない場合には、権利関係が確定していないため、不動産の処分がすぐにできない場合があります。。
- 相続を放棄するにはどうすればいいですか?
- 相続放棄をするには、相続開始後、自己のために相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に被相続人の住んでいた地域を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申述をしなければなりません。
家庭裁判所がその申述を受理することで相続放棄の効力が生じます。家庭裁判所において相続の放棄又は限定承認の手続をせずに、この期間を過ぎると単純承認したものとみなされ、相続放棄や限定承認をすることができなくなります。
なお、相続人が未成年者や成年被後見人の場合、『その法定代理人がその相続人のために相続の開始があったことを知ったとき』が起算点になります。
- 相続放棄をした後、撤回することはできますか?
- 相続放棄の手続きは、家庭裁判所において相続放棄の申述を行う方法によりますので、一度放棄をした後に相続放棄の撤回をすることはできません。
- 相続人がいないときは残された財産はどうなるの?
- 相続人が全員相続放棄した場合や、身寄りがなく法定相続人がいない場合は、相続財産管理人を選任しなければならない可能性があります。
相続財産管理人は、相続人がいない場合に相続財産を管理して清算を行う人のことをいいます。
利害関係人(遠い親戚や債権者など)または検察官の請求により、家庭裁判所において、相続財産管理人が選ばれ、相続人の捜索、債権者や受遺者に対する弁済などの手続きがされ、なお残余財産があるときは、その財産は 国庫に帰属します。
ただし、特別縁故のあった方が、裁判所に請求し、認められた場合には、相続財産の一部又は全部をその方が引き継ぐこともできます。
不動産登記に関するよくある質問
- 先祖代々からの土地を相続したのですが、これまでの間の登記がされていないので心配です。どうすればいいでしょうか?
- 相続の場合、中間の登記を省略せず、最終の相続人名義に移すために所有権移転登記を一件ずつ申請するのが原則です。ただ、相続の登記に関しては例外として、たとえば曾祖父から祖父、祖父から父、父からあなたへと土地が代々移転した場合のように、中間の相続人が単独(遺産分割等の結果として中間が単独となった場合でも差し支えありません)になっている場合には、便宜、中間の登記を省略して最終の相続人名義とする所有権移転登記を申請することが認められています。
- 相続登記は必ずしなければならないのでしょうか。
- 相続登記をしなかったからといって、罰金があったり、期限があるわけではありません。ただし、相続登記をせずに放っておくと手続きが複雑化したり、次の相続が開始して相続人が増え、権利関係が複雑化することがありますので、早めに手続きをすることをお勧めします。
- 不動産の贈与をしたいのですが、どうしたらいいのですか?
- 不動産を贈与する際には贈与契約を当事者間で締結したうえで、贈与による所有権移転登記を申請する必要があります。ただし、贈与をする場合、贈与税が問題になることがあり、「こんなに税金がかかるなら止めておく」と判断されるお客様もいらっしゃいます。管轄の税務署等にご相談していただき、贈与するか否か判断して頂くことになりますが、私どもには士業ネットワークがあるためこのような場合でも総合的にお力になれると思いますので、まずはご相談ください。
- 不動産の権利書を紛失しました。どうしたらよいのですか?
- 権利書は再発行できません。権利書が紛失したからといって、法務局にある登記簿の記載まで滅失するわけではないので、権利そのものには影響ありません。但し、その不動産について売買・贈与・抵当権の設定等によりその登記をする際に権利書が必要になりますが、権利証がない場合であっても、これに代わる方法により登記手続きをすることができますので、その際にはご相談ください。
- 子供(未成年者)への贈与はどうしたらいいですか?
- 贈与は、民法第549条で、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる行為とされています。
つまり、贈与を受ける人(受贈者)と贈与する人(贈与者)の両方の意思を確認できなければ成立しません。ですが、贈与を受ける人が未成年である場合は、親権者が法定代理人として法律行為を代理することができます。意思表示をすることができない未成年に贈与するときは、親権者が承認すれば贈与することができます。
手続きでは、贈与契約書を作成し、未成年者に代わって親権者が法定代理人として署名捺印をしておくといいでしょう。また、贈与された財産は未成年者のものですので、親権者が管理をしてるという理由であっても、親権者が自分で使用することはできませんので、注意が必要です。
- 住宅ローン完済すると、何か手続きが必要ですか?
- 住宅ローンを完済しても、登記簿上の抵当権が抹消されるわけではありません。住宅ローン完済後は、抵当権抹消の登記手続きをする必要があります。銀行などから送られてきた書類には有効期限がありますので、その期限を過ぎる前に手続きをきちんと行うことをお勧めします。
- 抵当権を設定した更地に、建物を建てた場合、権利関係はどうなりますか?
- 抵当権の設定されている土地上に建物を建てた場合は、それが土地所有者のものであっても、そうでなくても、また無断建築であろうがなかろうが、土地が競売という事態になれば、債権者はその建物をも競売に出すことができます(ほとんどが出します)。ただし、建物の競売代金は建物所有者に支払われ、債権者には配当されません。
- そもそも不動産登記とは何なんですか?
- 不動産登記とは、不動産(土地や建物)の所在、地番や家屋番号、面積、種類、構造等の物理的状態を公示するとともに、その不動産についての相続や売買、あるいは抵当権等の内容を法務局に備えられている登記簿で公示して、不動産の売買や不動産担保により融資をしようとする人達が安全に取引できるようにするための制度です。
- 不動産の売買を行うときはどうすればいいの?
- 不動産の売買を行う場合に限りませんが不動産の取引を行う場合まず法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して、現在の登記上の名義人や抵当権などの担保権設定の登記がなされていないか確認します。
抵当権とは金融機関からお金を借りる際に不動産の上に設定する権利で借入をした金額、利息、債務者、抵当権者(債権者)を公示します。この登記がなされたままですと、せっかく自分の名義にしても、抵当権に基づく競売により所有権を失ってしまうことになりかねません。
ですから通常は、抵当権等の設定登記がされている不動産の売買を行うときは抵当権等を抹消する登記を行った後に売買による所有権の移転登記を申請します。売買等による所有権移転登記申請には、原則として、
(1)不動産権利書又は登記識別情報
(2)売り主の印鑑証明書
(3)買い主の住民票
(4)売買の事実を証する書面(登記原因証明情報)
(5)委任状が必要です。
不動産の固定資産評価額に基づいた計算式での収入印紙が必要になりますので不動産の固定資産評価証明書も必要です。また農地(畑、田)の売買には農地法許可書が必要になります。登記完了後に登記識別情報通知書が法務局から交付されます。
商業登記に関するよくある質問
- 1人でも会社設立することはできますか?
- できます。
以前は4名以上(取締役3名以上、監査役1名以上)いなければ株式会社を設立することはできませんでしたが、平成18年5月より1名でも株式会社を設立することができるようになりました。典型的なオーナー会社です。なお、1人で設立した株式会社でも、のちに株主や取締役を増やしていくことができます。
- なぜ商業登記・法人登記が必要なのですか?
- 会社の登記(商業登記)は、どうのような会社なのかを一般に公示する制度です。そして、法律は、この商業登記を義務づけることで、取引の安全をはかっています。そのため、会社を運営していると、必ず商業登記を行わなければならない場面に直面することになります。登記を怠ったまま放置すると、法務局より過料を科せられ数万円を支払わなければなりません。従って、会社の運営において、最低限、登記だけは怠らないよう注意しなければなりません。
- 商号について、どんな商号でもいいの?
- 基本的にはどんな商号でもいいのですが、同一の所在地で同一の商号を使用した会社を設立することはできません。また、一般的に知られた商号を同一事業の目的に使用することは、不正競争防止法により禁止され、これに違反すると、相手方から使用差止請求を受け、場合によっては、損害賠償請求を受ける恐れがあることから、注意が必要です。又、商号とは、会社の看板になるものですから、これから事業を行おうとする方は、取引先や顧客に対して、事業のアピールをするためにも、じっくり考えた上で商号を決定することをお勧めします。
- 事業内容を変更したいのですが、どうすればいいですか?
- 事業内容を変更される場合、株主総会で定款変更決議をする必要があります。事業内容の記載の仕方などは、一般的にわかりやすい言葉で表現する必要があり、専門的すぎる用語などは使用できない場合もありますので、株主総会を開催される前に、ご相談下さい。
- 役員に変更がなくても手続きをしないといけないですか?
- 役員は、任期が満了すると当然に退任することになります。会社法上は後任の役員が選任されるまで権利義務を承継することになっておりますが、退任時期はあくまで任期満了日です。従いまして、任期が到来している役員について実質的に変更がない場合であっても、役員の改選手続きをし、その登記をする必要があります。この手続きを怠ると過料になり、必要のない出費をしなければならなくなりますので注意が必要です。また、各種の許可を受けている会社においては、役員の職務を継続して行っていることを要件としているものもあり、後日行うことにより不測の事態に陥ることもありますので速やかに手続きを行うことをお勧めします。
- 株式会社でもう10年以上役員変更登記をしていませんが変更登記は必要でしょうか?
- すぐに役員の変更登記が必要となります。新会社法では定款で任期を10年まで伸長できますが、これはあくまでこれから役員になる方、または現在在任中の方が対象で、任期がすでに満了している役員に対してそのまま任期を伸長させることはできません。したがって、なるべく早く臨時株主総会を開催するか、次の定時株主総会で、役員の改選決議をする必要があります。
したがって、なるべく早く臨時株主総会を開催するか、次の定時株主総会で、役員の改選決議をする必要があります。12年以上放置しますとみなし解散したもとされてしまいますので、ご注意ください。詳しくはこちらをご確認ください。
- 会社を解散したいのですが、どうすればいいのですか?
- 会社を解散する場合、事業を終了し、清算を行いたい場合には、解散の手続きをする必要があります。
株式会社においては、通常株主総会で解散決議を行い、清算人を選任することになります。清算人は以下のような流れで手続きを行う必要があります。
1.会社の解散及び清算人選任の登記を遅滞なく行う。
2.官報により2ヶ月以上の期間を定めて会社債権者に申し出をするよう解散公告をすると伴に、知れたる債権者には各別に通知する。
3.現務の結了、債権の取立を行う。
4.2ヶ月の申出期間を経過した後、債務の弁済、残余財産の分配などを行う。
5.株主総会を開催して、清算事務報告をし、その承認を受ける。
6.清算結了の登記を遅滞なく行う。
- 会社の清算手続きはどのようになるのでしょうか?
- 1.解散の事由と清算人を確認します。
2.当事務所で必要書類を作成
3.指法務局へ登記の申請(会社の解散・清算人選任)
4.登記完了後に会社で保管すべき書類、登記完了後の登記事項証明書を交付します。
5.官報公告の申込手続きをします。
6.2ヶ月の期間経過後、清算手続き(債務の弁済、残余財産の分配など)を行っていただき、決算報告書を作成
7.株主総会の承認決議を待って必要書類の作成
8.指定箇所へ押印の後、法務局へ登記の申請(清算結了)
9.登記完了後に清算人において保管すべき書類、登記完了後の登記事項証明書を交付(手続終了)
裁判業務に関するよくある質問
- 裁判所提出書類作成業務の具体的内容は何ですか?
- 訴状作成
答弁書作成
不在者財産管理人選任申立
特別代理人選任申立
相続放棄手続
破産手続開始申立書作成
再生手続開始申立書作成
調停申立書作成
公示催告申立書作成
債権差押命令申立書作成等、その他の裁判所へ提出する書類全般です。
- 特別代理人選任申立とは何ですか?
- 未成年者と親とが取引を行う場合など、未成年者を代理して契約を締結する人が不在の場合に、その代理権を行使する人を家庭裁判所に選任してもらう手続きです。
- 小額訴訟とはどういったものですか?
- 小額訴訟とは、60万円以下の金銭の請求に限り利用できるもので、原則として、裁判所に1回だけ出頭すれば決着がつきます。主なポイントとしては以下のとおりです。
[1]60万円以下の金銭の請求であること
[2]書類などの証拠があること
[3]あまり複雑な事件でないこと
- 費用がない場合、訴訟をすることはできないのでしょうか?
- 裁判を起こしたい場合や、訴訟を起こされた場合に応ずる場合で、専門家による裁判の援助や書類の作成が必要なのに、専門家に依頼できるほどの経済的余裕がない場合でも、一定の要件を満たせば、専門家に依頼するための費用を立て替えて、弁護士や司法書士を紹介する制度があります。
- 友人に頼まれて30万円を貸したのですが、毎月5万円ずつ返すとの約束だったのに、催促しても、理由をつけて全く返してくれません。どうすればいいでしょうか?
- 友人同士でのお金の貸し借りの場合、口約束で契約書や借用書、領収書などにより書面にしていないことが多いため、借りた方に返済意思がない場合争いになり やすくなります。この場合、まず、貸した相手の方に、あなたから30万円を借りたこと、返す意思があること、いつまでに、幾らずつ返すということを書面に してもらうよう請求してみてください。それでも、返済がない場合には、内容証明の送付、支払督促、訴訟手続きを検討されるといいでしょう。なお、あなたが ご友人に30万円を貸したこと、そのご友人が30万円を返すとの約定で金銭を授受したことを証明することができないと、争いになったときに大変ですので、 お金の貸し借りの際には必ず書面にすることをお勧めします。
- 裁判所から社員の給料に対する「差押命令」が郵送されてきました。対処法は?
- 差押えとは「貸金債権など債務者が債権者に返済しない場合に、債権者が裁判所に申し立てて、債務者の第三債務者に有する債権を差押えて債権を回収する法的手段」のことです。
今回のケースは、債権者(貸した人)が、債務者(借りた人=社員)の、第三債務者(相談者である企業様)に対する給料債権を差押えてきたということです。これに対しては、第一に、差押命令の送達により債務者である社員には、給料を支払うことが出来なくなります(民事執行法145条1項)ので、所定の額を除き支払わないようにします。第二に、差押命令に同封されている陳述書を2週間以内に作成して裁判所に提出します。この陳述書を故意または過失により提出しなかったり、内容に誤りがあったりしたときは、債権者に生じた損害を賠償する義務が発生します(民事執行法147条2項)。不提出や誤記に気付いたときには、速やかに提出、訂正しましょう。
遺言・成年後見の問題に関するよくある質問
- 遺言の種類には3つあるとききます。簡単に教えてください。
- 遺言書には主に以下の3種類があります。
【自筆証書遺言】遺言者自身が遺言の全文・日付を書き、署名・押印します。
【公正証書遺言】証人2人以上の立会いのもとで、遺言者が内容を公証人に口述し、公証人がそれを筆記します。遺言者・証人が各自署名押印した後、最後に公証人が署名押印します。
【秘密証書遺言】遺言者が遺言書を書いて署名押印し、その遺言書を封印します。遺言書を公証人と証人2人の前に提出して、遺言者・証人・公証人が各自署名押印します。
- 遺言の保管はどのようにすればいいのですか?
- 遺言は書面で行います。遺言によって自らの意思を実現するためには、相続人がその遺言書を発見しないと、遺言の効果はありません。
そのため、遺言書は相続人が見つけやすく、しかも隠されたり改竄されたりする心配のない場所に保管しなければなりません。
もし、そのような場所がない場合は、以下のような方法があります。
○公正証書遺言の場合
公正証書による遺言は遺言書の原本が公証役場に保管されます。そこで、相続人に公証役場に遺言書を作成してあると伝えておけば大丈夫です。
遺言者が存命中に遺言書の存在が明らかになり、相続人が公証役場へ行ったとしても、公証人は遺言書の内容を教えたり見せたりはしません。遺言の内容を秘密にするには最適の方法です。
○司法書士に頼む場合
遺言書作成を依頼した司法書士に保管を頼むことができます。
司法書士には守秘義務があるので、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています。そのため、遺言書の存在自体を秘密にしておくことも可能です。
○第三者に頼む場合
自筆証書遺言の場合、配偶者や親族に預けるのが一般的です。
しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合、隠匿、改竄の恐れがあり、後に紛争の種になりかねません。遺産に何の利害関係のない公正な第三者に保管を依頼した方がいいといえます。
遺言で遺言執行者を定めた場合は、遺言執行者に預けておくこともできます。
- 成年後見制度とはどのような制度ですか。
- 成年後見制度は、家庭裁判所が関与して、認知症、知的障害、精神障害などで判断能力が不十分な人の権利を守り、保護するための制度です。これにより自分一人では困難な不動産や預貯金等の財産の管理や各種契約が安全に行えるようになります。
- 成年後見を行わない場合には、どのような不利益がありますか?
- 本人に判断能力が全くない場合には、例えば、預金の解約、福祉サービス契約の締結、遺産分割協議、不動産の売買等をすることができません。また、判断能力が不十分な場合に、これを本人だけで行うと、本人にとって不利益な結果となるおそれがあります。
- 故人に相続人がいない場合、必ず家庭裁判所で相続財産管理人が選任されるのでしょうか?
- 相続財産管理人の選任を申し立てるにも費用がかかります。相続財産管理人の選任を申し立てるにも費用がかかります。競売などの手続きしない場合には選任されないことはよくあります。
- 身寄りが誰もいない方のお世話をしてきたのですが、その方がお亡くなりになった場合、その方の財産はどうすればよいでしょうか。私が勝手に頂いてもよろしいのでしょうか。
- 勝手に貰ってはいけません。遺言書もなく、相続人がいるかどうかも明らかでない場合(いないことが明らかな場合も含む)、亡くなった方の相続財産を管理し、清算してくれる相続財産管理人の選任を家庭裁判所に請求することになります。