法改正により相続登記が義務化に・・・
法改正により、今まで義務のなかった相続登記の申請が義務化されます。令和6年4月1日から相続登記は義務化されますので、相続登記は必ずしなければいけなくなります。
日本では、登記簿という公的な記録に、土地・建物ごとの所有者の住所や氏名などが記録され管理されています。ですが、登記簿を確認しても所有者が分からない土地、連絡がつかない土地といった「所有者不明土地」が近年九州と同じくらいの面積に広がって今後も増えていくと言われています。
所有者不明土地は、災害からの復旧・復興事業や、民間取引の妨げになります。
そこでこの問題の解決のため、令和3年4月に民法・不動産登記法の改正法と相続土地国庫帰属法という２つの法律が成立しました。
これにより相続登記の義務化が令和6年4月1日より義務化されます。
所有者不明土地の多くは、不動産の所有者が亡くなられた後、その相続人が相続登記の申請をしないことで発生します。これまでは相続登記を申請しなくてもよかったのですが、令和6年4月１日以降は不動産の相続したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならなくなり、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料（罰金）が科される可能性があります。
令和6年4月より以前に不動産の相続をした方も対象となりなりますので、現在まだ相続登記をされていない方はお早めに相続登記を行いましょう。
相続登記に必要な戸籍収集をする際に、戸籍を取得する場所が多いと1～2ヶ月かかることがあります。早めに準備されることをオススメします。
相続登記を放置するリスク
相続登記を放置しておくことはオススメできません。相続登記を放置していると、下記のような思いもよらぬリスクがあるので、ご注意ください。
- 過料という罰則にあたる可能性・・・令和6年4月以降に相続登記が義務化されると相続不動産の取得を知ってから3年以内に相続登記することが義務化されることになり、これを正当な理由なく怠れば罰則（10万円以下の罰金）が科されることが盛り込まれています。
特に注意をしたいのは、令和6年4月以前に相続した方も相続登記義務化の対象になりますので、現在相続登記を放置している方にも当てはまります。
相続登記をする場合に戸籍の収集が必要になりますが、戸籍を取得する場所が多いとそれだけで1～2ヶ月かかることがあります。不動産を相続したら、早めに手続きをしましょう。 - 相続人の数が増えて手続きが複雑に・・・相続登記を長い間放置していると、その相続人の方が亡くなってしまうとその権利は次の世代へ進み新たな相続が発生して相続人の数が増えるなど、相続関係が複雑なることがあります。
不動産を相続人の誰かひとり単独とする場合は、相続人全員で遺産分割協議をしなければなりません。
遺産分割協議は人数が増えるほど大変な手続きになり話し合いがまとまらないことが多くなります。遺産分割協議がまとまらなければ、相続登記を進めることができません。
相続不動産の売却をしたい場合、売却することもできません。 - 相続人の方が、認知症になり手続きが大変に・・・相続において、被相続人はご高齢なケースが多く、したがって相続人の方も高齢なことが大変多いです。
相続登記を長期間放置した結果、相続人の方が認知症になってしまうと、遺産分割協議ができなくなります。
これは、遺産分割協議をするためには意思能力が必要であって、意思能力がない方がした遺産分割協議は法律行為の効力要件を満たさないからです。この場合には、認知症の方に成年後見人を就けることが必要になり、後見人を決め家庭裁判所へ成年後見人選任の申立書及び関係書類一式を提出しなかればならず、手続きも煩雑になります。
こんな不安やお悩みがありましたら、
吉村事務所へお気軽にご相談ください！
- 相続手続きは初めてで、何から手をつけていいかわからない。
- 相続登記をまだしていないので、相談したい。
- 相続登記に必要な戸籍など必要書類を集めるのが大変。
相続登記の義務化に備えるには
亡くなった後（相続登記義務化施行後）の対策
- 相続登記を速やかに行うことにつきます。相続登記の義務化は2024年（令和6年）4月からスタートします！基本ルールは、相続（遺言も含む）によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければいけません！2024年（令和6年）4月以前の相続についても相続登記の義務化は適用となります。
また遺産分割の話し合いが必要な場合は、不動産の取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内にその内容に沿って登記をしなければいけません。こちらも正当な理由がなく違反した場合には、10万円以下の過料となっていますので、ご注意ください。
相続登記の義務化に併せて
以下のような制度も始まります
- 相続人申告登記
- 相続人が見つからなかったり、相続人間でトラブルがあり遺産分割協議がまとまらなく、3年の期限を超えてしまいそうな場合は、 相続人申告登記をすることができるようになりました。 この相続人申告登記をすることで、一旦申請義務や過料を免れることができます。 ただし、遺産分割が成立した日から3年以内に相続登記をする必要がありますので、ご注意ください。
- 住所変更登記の義務化
- 不動産相続した方が住所変更をされた場合に住所変更登記も義務化されます。こちらは2026年（令和8年）4月までにスタートすることが決まっています。住所変更された方も住所変更登記手続きを速やかに行いましょう！
- 相続土地国庫帰属制度の創設
- 令和5年4月27日より相続等によって土地を取得したけど、使い道のないので手放したいという相続人を対象に、法務大臣の承認を受けてその土地を国に引き取ってもらうことのできる制度「相続土地国庫帰属制度」が新たに始まります。
ただし、この相続土地国庫帰属制度を使って土地を手放すには建物がない、抵当権や地上権がついていない、境界が明らかである土地などの一定の要件を満たしていることのほか、審査手数料や10年分の土地管理費相当分（基本は20万円）の負担金を支払う必要があります。
また令和5年4月1日よりその他、所有者不明土地の管理に特化した管理人を選ぶことができるようになる「所有者不明土地管理制度」がスタートするほか、遺産分割についても被相続人が亡くなってから10年経過した後は、法律で決められた法定相続分に従って簡便に分割をするといるルールに変わります。
生前対策
遺言書作成
遺言書は、ご自身が亡くなれたあとに不動産や財産を誰に遺すのかを生前に決めておくことができます。
遺言書は法律でその形式が定めれれておりますので、その有効な形式沿って作成しなければ、効力が生じません。当事務所では、作成される方の気持ちに寄添い、法律に定められた有効な形式を守りながら、より確かに思いが伝わり遺志が実現される遺言書を作成するお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にお問い合せ下さい。
遺言書を作成したほうが良いのは
以下のような場合になります
- 家族が多い方相続人が多ければ多いほど、相続人同士の意見が割れて遺産分割協議がまとまりづらくなります。遺言書を作成しておけば、遺産分割協議をしなくても相続手続きが進められます。
- ご家族がいない方家族がいない方の場合、遺産は最終的に国庫に帰属してしまいます。お世話になった人に遺産を渡したい場合や、特定の会社や慈善団体に財産を寄付したい場合などは、ご自分で遺産の引き継ぎ方を決めたい場合は遺言省を作成する必要があります。
- 相続人以外の人へ財産を残したい方法定相続人以外の方に財産を残したい場合や、相続人の中の特定の方に事業承継されたい場合、内縁の妻がいる場合なども遺言書にその旨を記載する必要があります。
生前贈与
生前贈与は、ある人の財産を無償で他の人に引き継がせる契約をいいます。
不動産の贈与は、親子などの親族間で行われる事が多いです。贈与税が課されることがあるので、注意が必要ですが、相続税対策や、相続争い防止のために多く利用されています。
当事務所では、贈与契約書や登記申請等の書類作成といった面倒な作業も一括で代行いたします。
相続税対策のために生前贈与を行うときは、税理士もしくは税務署にご確認してください。
当事務所で提携している税理士をご紹介させていただくこともできますので、お気軽にご相談ください。
